European Doula Networkのウェブサイトで2020年に会員であるドゥーラたちの現状について、アンケート結果が公開されていました。欧州の状況を知るのにとても興味深いデータだと思いましたのでシェアします。
European Doula Network(EDN)について:2011年に設立。年一度の総会を毎年開催している。2020年現在ヨーロッパ23か国45のドゥーラ団体及びドゥーラ認定団体がAssociateとして登録しているほか、個人とボランティアの協力で成り立っている。
アンケート回答者:European Doula Networkに所属する600人以上のドゥーラ
時期:2020年3月末にアンケート開始。回答はCovid-19以前の状況について
結果:
1) ドゥーラの年齢 35-44歳(58%)、25-34歳(25%)、45-54歳(19%)
2) ドゥーラの種類 出産89%、産後(出産と両方行う人も含め)55%、ビリーブメント(グリーフケア)8%、エンドオフライフ6%。
※出産ドゥーラは直近12か月間で平均5件の出産立ち合い
3) ドゥーラの研修:地域団体による研修73%、DONAインターナショナル 15%
※DONAインターナショナルの研修を受けた人は、小さなコミュニティでドゥーラの数が少ない地域に多くみられ
た。そのような地域は地元のドゥーラ認定団体が存在しないので、DONAインターナショナルが唯一の選択肢のことが多いため。しかしDONAインターナショナルの研修を受けた人は認定まで行く確率は低かった。理由として、出産立ち合いをしたくても病院に受け入れてもらえない、認定料金が高い、認定のプロセスが複雑、そして認定の必要性を感じない、が挙がった。
※大多数のドゥーラが長期のコースやワークショップで研修を受けていたが、10人に一人はオンラインでの受講だった。
4)ドゥーラ活動:3分の2のドゥーラが研修の後一か月以内に最初のクライアントを得ていた。しかし単独のドゥーラ活動だけで生活費を得られているドゥーラは10人に一人しかいなかった。57%がドゥーラ活動では生活していけないと回答し、70%が他にも仕事を持っていた。これにもかかわらず、63%のドゥーラが5年後にもまだドゥーラをしているだろうと答え、28%は時々でもドゥーラを続けていく予定だと回答した。
5)バーンアウト:27%がドゥーラ関連でバーンアウトを経験していた。が、多くの回答者がドゥーラコミュニティは助け合う関係だと感じており、70%のドゥーラはバックアップやスーパーバイザ役の人を持っていた。
6)出産における人権:参加23か国全てで50%以上のドゥーラが出産現場における人権侵害を目撃しており、具体的にはインフォームドコンセントの欠如だった。ほとんどの参加国で70%程度のドゥーラが、出産時の介入について本人のインフォームドコンセントが欠如しているのを目撃していた。出産する本人の身体的自治権(Bodily Autonomy)、例えば自由に動くこと、飲食すること、トイレに行くことなど、が否定されたのを目撃したのはスイスの27%からハンガリーの92%まで幅があった。感情的強要(Emotional Coercion)は58%、言葉による暴力/屈辱は47%と、EDN全体で多数のドゥーラが目撃していた。最後に、4人に一人のドゥーラが身体的虐待もしくは拘束を見たことがあった。
7)ドゥーラの受け入れ:病院に好意的に受け入れられるのは3人に一人の割合で、55%は時には受け入れてもらえる、15%は全く好意的に受け入れられないと回答した。4人に一人(27%)は地域のコミュニティがドゥーラとしての活動に価値を認めてくれないと感じていた。
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