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【連載】ドゥーラへの聴き取り レポート 1
Q 5. 日本ではついつい「欧米では・・」とか、「欧米の~」とまとめてしまいがちですが、アメリカ系ドゥーラと、ヨーロッパ系(あるいはUK系)ドゥーラには特徴や傾向ってありますか?
この日のSMD総会には、2 名の米国出身のドゥーラも含まれていました。そのために、アメリカ系ドゥーラへの見解については、みなさん配慮されながら発言していました。それぞれのドゥーラの特徴や傾向、または外部からみて抱く一般的なイメージについて挙がった意見を以下にざっと挙げると。。。
■アメリカ系■
お産というものが、生理の一部として捉えられているというよりは、医療側に大きく傾いたものとして扱われているのがアメリカの現実。周産期医療におけるバースフィロソフィー(出産哲学)の主流は‘管理’。そのせいで、アメリカで活動するドゥーラの役割も、より "スキル" や "テクニ―ク" 重視になっているのではないだろうか?というイメージを持っているSMDドゥーラが多かったです。ドゥーラはもとより、介助する助産師さんの自律性(オートノミ―)もアメリカの多くの医療機関で尊重されていないのでは、という声も。結果、産婦人科医主導型を避けるために自宅分娩を選ぶ女性が一定数を保っているという昨今の動きも理解できる、とのこと。
アメリカの話です。健康な妊婦さんのお産について言えば、ハイテク医療に頼る考えではない助産師、つまり、よりホリスティックな考え方を持ちあわせた助産師は、施設勤務の助産師よりも、CPRの資格をもって開業している助産師に圧倒的に多い。よって、CPM*の助産師と組んで働くドゥーラはとても多いという報告も米国出身のドゥーラからグループ全体に向けてありました。
*CPM Certified Professional Midwife。助産師として認定を受けた助産師のことで、別名ダイレクトエントリーとも呼ばれる。
■ヨーロッパ系■
どこからどこまでをヨーロッパと捉えるか、という線引きがまず出来なかったので、あいまいなまま話が進んでいきました。ですが、そのおかげで、さまざまな国のドゥーラ話で盛り上がりました。例えば、中東のドバイでお産に立ち会った経験をもつイギリス人ドゥーラが現地の病院でのドゥーラ経験を披露すると「UK内で活動している私たちは本当にラッキーな国にいるよね」ということで、全員一致し、UK内でドゥーラ活動をしていることに誰もが恩恵を感じているように映りました。ルーマニアの助産師、アグネス・ゲレブさんの軟禁事件にまつわる話や、現在スペインで持ち上がっているホームバースに関する法律も話題に挙がるなど、イギリス以外の国の不安要素ばかりがクローズアップされました。しかし、それぞれのドゥーラたちの先祖が、フランス系やイタリア系などさまざまなものであったために、批判的な話に進展することはありませんでした。
‘ヨーロッパ系ドゥーラ’とひとくくりに言っても、その多様性には目を見張るものがあり、それぞれに興味深く、違っているものだね、という認識を新たにしました。
■ヨーロッパの中でも特にUK系■
先述の通り、「UK内で活動する私たちは本当にラッキーな国にいるよね」ということでは、満場一致でした。それから、「UK系はよりインテグレーテッドされている」という声が大きかったことを忘れずに書いておきます。個人的な解釈ですが、この場合のインテグレーテッドは、人種や文化の差異といった壁を乗り越え、さまざまなものがお互いに尊重されながら共存している、という意味で使われていたように感じます。しかしその後、ブレグジット(EU離脱)が決まり、現在、同じ質問をしたとして、同じような反応が返ってくるかは疑問です。
<Q 5 についての反応をきいてみて>
とてもデリケートな質問で、こちら(木村)の準備不足を感じました。ヨーロピアンドゥーラの団体にも重複して加入しているので、引き続き、各国のドゥーラ事情についてアンテナを広げていきたいと思いました。
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