<概要>
2024年1月28日13:30から18:30まで11人の参加者と一緒に、①性暴力、②サバイバーの妊娠・出産、そして③トラウマインフォームド・ケア、という視点から学びあいとネットワーキングを行いました。会のはじめに、参考書である「性暴力サバイバーが出産するとき」の本の内容やサバイバー自身の体験について、静岡大学の白井千晶先生からお話ししていただきました。その後、3回のグループセッションを行い、参加者それぞれが日々の活動から感じていることなどを話し合いました。最後に全体で今日の会を振り返りました。
<参加者層>
大学教員、助産師、看護師、 暴力の被害者や妊娠葛藤に関する支援団体関係者、心理カウンセラー、ドゥーラの他、居場所運営や精神保健福祉士の方にご参加いただきました。
<参加の目的>
参加動機として多く挙げられたのが、「勉強する機会を探していたから」「多様な職種の人と勉強することに興味があったから」でした。
実際に会に参加して、「普段会えない立場や職種の人と出会うことができた」「様々な話を聞けた」「支援に必要なつながりができた」、という感想をいただいたので、目的にかなったものになったのなら幸いです。
<聞く・話す・つながる、がエンパワメントになることを体感する場となった>
「自分の話ができる」・聞いてもらえる、そして「立場のちがう人(同士)なのに、気持ちが通じ合える」場となり、「すごくあたたかくて嬉しい気持ち」や「いあん」の場と感じてくださったという言葉を少なからずいただきました。医療者、教育者、支援者として普段はそれぞれの現場で葛藤もありながら活動されているだろう方々にとって、「ジャッジせず聞いてもらえる」「安心安全の場」という誰にとっても、そしてサバイバーにはとくに大切な要素を、期せずとも体現していたのではないでしょうか。
支援する側がバーンアウトしないよう「支援者の支援」も大切だという話が共感を持って受け止められていましたが、このような場が、「また頑張って行こうと思う エネルギーになった」「自分のケアから大丈夫なのかどうか不安になることがありましたが、今日で大丈夫だと思えました」という、「エンパワーされ」る体験になることを改めて実感する場となったことがうかがえます。
<性暴力サバイバーが妊娠・出産する際に望ましいケアや体験>
アンケートの回答を紹介します。
<体験>
・妊娠・出産の体験を肯定、乗り越えられる
・のぞんだように大切にされる
・育ちなおしができる
・女性として生まれてよかったという体験
・ありのままを受け止めてもらえたという実感、
・自分で産む、誰かの力を借りられるような機会となる
<ケア>
・信頼できる人との出会い、一緒にいてもらいたいヒトを選べること
・その方の背景までイメージしながらケアできる余裕
・価値観が変わったり大きく成長できるチャンスとして接する
・全ての処置への同意を得る
・使われたら嫌な処置、言葉を事前に聞く
・自己決定支援(情報提供と選択権)、選択肢を提案できる準備、話すか・話さないか選べる自由
・否定・ジャッジしない
・次に続く人生のエネルギーになるようなケア
・癒される環境とサポート
というご意見をいただきました。
<トラウマインフォームド・ケアの広がり>
「育ちなおしができる」「性暴力の体験が塗りかえられる」という参加者の言葉から、思いやりのある環境があれば妊娠・出産が癒しになり得るという、このプロジェクトの大きな希望の部分が参加者に伝わっていることが分かりとても嬉しいです。「コントロールしないこと、対等であること」は全ての人に必要かもしれないと、この会を通じて感じてくださった方がいることは、まさにトラウマインフォームド・ケアの広がりと言え、今回の参加者を通じて更に社会に浸透していくことを願います。
<今後に向けて>
医療者以外の支援者向けの基礎情報として、出産の手順や体の変化などのプチ勉強会を企画して欲しいというご希望をいただきました。「よりそいの本質とは」という問いもいただきました。引き続き様々な方達と話し合っていく機会ができれば幸いです。
※この会はドコモ市民活動団体助成事業の助成を受けて行われました。

参加者11名スタッフ6名

こたつを囲んでの勉強会
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